今年のフランス短編のテーマは「パリの恋愛事情」。ロメール作品「モンソーのパン屋の女の子」の他、パリで繰り広げられる男と女のドラマをコミカル&シニカルに描いた若手監督の短編を上映。映画の国フランスからの珠玉の短編、集めました。
©Les Films du Losange
自分勝手で、理屈っぽくて、でもなんだか憎めないフランス男・・
ロメール監督の、フランス式恋愛考察”六つの教訓”シリーズの第1回短編作品
自分勝手で、理屈っぽくて、でもなんだか憎めないフランス男の恋愛観がわかる、これぞロメール!な作品です。1960年代のパリの街並みとともに軽快な恋の駆け引きをお楽しみください。フランスの恋愛事情を軽快なタッチで描き続けたロメール監督の追悼の意味もこめて、今年のフランス短編のテーマは「男と女の事情@パリ」とする予定です。甘~いようで、とってもシビアな、フランス人の恋愛観。お楽しみに!(映画祭代表 尾上浩子)
『La Boulangère de Monceau』
邦題:モンソーのパン屋の女の子
(フランス/ひめじ国際短編映画祭オリジナル字幕版/モノクロ/26分/1962年/DVD上映)
パリのモンソー地区に住む青年は、近所でよくすれ違う女性に密かに恋をしていた。ある日、やっと知り合いになれて喜んだのもつかの間、翌日から彼女は忽然と姿を消してしまう。彼女を探して近所をうろうろする青年は、暇つぶしにパン屋で働く女の子を口説きはじめるが・・。
監督:Eric Rohmer(エリック・ロメール)
脚本:Eric Rohmer(エリック・ロメール)
撮影:Jean-Michel Meurice(ジャン・ミシェル・ムリス)
編集:Eric Rohmer(エリック・ロメール)
出演:Barbet Schroeder(バルベ・シュローデル)、Michèle Girardon(ミシェール・ジラルド)、Claudine Soubrier(クローディーヌ・スブリエ)
字幕:尾上浩子(ひめじ国際短編映画祭 代表)
-----その他のフランス短編特集作品-----
『Plaisirs d’amour』
邦題:愛の歓び
(フランス/字幕なし/12分/2007年/DVD上映)
体も違えば頭の中も違う「男」と「女」の4つの愛の形を描いたオムニバスアニメーション。
監督:Fabrice de la Rosa
『Dernière démarque』
邦題:大特価!
(フランス/字幕あり/14分/2009年/DVD上映)
優しいが男としての魅力にかけるジョルジュ。妻に捨てられ、愛犬も失ったジョルジュが、近所にある不思議な「なんでも屋さん」で、見つけたのは。
監督:Nicolas Slomka、Matthieu Rumani
『Le Petit homme bleu』
邦題:青い小人
(フランス/字幕あり/10分/2008年/DVD上映)
公園を散歩中のガブリエルは、青いスーツを着た奇妙な男に声をかけられる。好奇心にかられ、その男についていくと、あるカップルの別れ現場に遭遇し。
監督:Hélène Guetary
作品提供監督
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© Les Films du Losange
Eric Rohmer(エリック・ロメール)
1920年生まれ。
パリの高校で文学の教師として教鞭をとる傍ら、映画評論も執筆。「カイエ・デュ・シネマ」での評論活動を通して、トリュフォーや、ゴダール、シャブロルと親交を深め、ヌーヴェル・ヴァーグの重要人物として活躍する。1959年に長編映画「獅子座」で監督デビューした後は、フランスを代表する監督として数多くの短編、長編を発表。
代表作は、「海辺のポーリーヌ」、「四季の物語シリーズ」など。無名の俳優を多用し、等身大の男女の恋愛模様を軽快かつ繊細なタッチで描き、日本でも根強い人気を誇る。
2010年1月11日、パリ市内の病院で死去。享年89歳。
Fabrice de la ROSA
1959年フランス生まれ。アニメーション作家としてTVアニメや、短編アニメーションの制作をする傍ら、アニメーションの制作配給、国際アニメーション映画祭Les Nuits Magiquesの運営も行う。2004年からはボルドー第3大学にてアニメーションを教えている。
Nicolas Slomka、Matthieu Rumani
映画学生だったNicolas Slomkaと Matthieu Rumaniはふとしたきっかけで出会い、二人で短編映画シリーズの自主制作を始める。インターネット上で作品を上映し注目を浴び、プロの監督としてデビューのきっかけを得る。プロ作品第一作目として1年かけて制作したのが「Dernière Démarque」である。
Hélène Guetary
1957年、パリ生まれ。ボザールで学んだ後、NYに渡り、造形美術家、画家として活動。フェリーニの影響を受けて写真と映像制作を始めてからは、フランスのテレビ局の依頼を受けて短編作品や番組を多数制作。作家として著作活動も行い、シュールレアリストで幻想的なマルチアーティストとして多方面で活躍している。
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